2020/03/20 12:05

さらば丹尺あられ 丹尺あられ50円セール!

 

ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。

次々と新商品が出るお菓子業界。新商品の誕生には、どうしても「生産中止」となる商品が付いて回ります。

 

最近発売をしたかつおぶしと塩のあられ、ゆずと梅のあられ、サクっと梅こんぶあられ、ガリっとたこ焼きあられ…。手前味噌ではございますが、どれも皆様に喜んでいただいておる商品です。

 

その陰で、この度、今春をもって「丹尺あられ」が生産終了となります。

 

ここで丹尺あられ愛を語るとともに、生産終了に際し、大セールのお知らせでございます。

 

・丹尺あられについて

そもそも「丹尺」と書いて、「たんざく」と読みます。現代の文字変換機能をもってしても変換は利きません。私も入社したばかりのころ、POPに「短冊」「短尺」と書いて、上司に間違いを指摘されたことを思い出します。

 

そして丹尺とは。調べたところ、火打鎌の事を丹尺といい、火打石で火花を打ちかけるもので、厄を祓う日本古来の風習「切り火」において使用される道具であるとの事です。今初めて知りました。おそらく一瞬で丹尺知識が社内一になったはずです。

 

厄を祓う「丹尺」という縁起物だったのですね。

 


 

・当社での歴史

丹尺あられは、名前からして当社商品内でも古参だという事はなんとなくわかっておりました。そこで改めて営業部長(もうすぐ65歳のお菓子マスター。間もなく定年。)に、いつから丹尺あられがあったのか、聞いてみることに。

「ワシが入社したころにはあったぞ。」との事。

部長が入社したころ…?一瞬戦前の光景が思い浮かびましたが、40年前くらいか。ということは、少なくとも半世紀近く存在していた商品。ちなみに部長の奥様は丹尺あられが大のお気に入り。モウシワケナイデス…。

 

【ハロウィーンの仮装を楽しむ陽気な部長】


当時は九州地方にて猛烈に売れていたとの事です。ただ、40年も経つと、お召し上がりになる方の趣味嗜好も変わってくるのでしょう。現在では製造しても工場内に鎮座することが多くなってしまいました。

 

また、当初は「丹尺バター」という名前だったことが判明。「丹尺バター」と「角バター」は当時九州で一世を風靡した商品だったとか。角バターについては、当社の最古参、「バターあられ」の二回り大きい商品との事。私は一度も見たことがございませんが。

 

 

・見た目について

丹尺あられの見た目は、白い色調に細長い直方体です。ネクタイを買ったときの細長い箱をイメージしていただき、その縮小版です。当社商品の中では、比較的小ぶりな商品で、手に取って食べやすい大きさです。

 

生地の中に白いつぶつぶが見られますが、こちらは白ごま。セサミンたっぷりのあられなのです。生地に白ごまを練り込んだおかきって、他にないんじゃないかと思います。

 

 

・作り方、食感

丹尺あられの特徴は、一言で言うと、「冷凍物(れいとうもん)」だという事。もち米を餅生地にした後、急速に冷やします。その後白ごまを混ぜてミンチ機にかけて、丸3日間4℃の冷蔵庫に寝かせます。

【冷蔵庫の様子。4℃に保ってます。】


切断後じっくり乾燥させて180℃の焼き窯で約2分間焼き上げます。

【焼き窯の様子。】 


れいとうもんの特徴は、焼いている途中に生地が膨れるのではなく、生地がぽこんと「浮く」イメージです。説明が難しい。長方形が、そのまま3次元に伸びて、直方体になる感じ。

 

なぜそうなるのかは、工場長に聞いてもよく理解できませんでした。そういうものとして理解します。あられ作りにおいて職人のカンはとても大事です。

 

出来上がったこの生地、食感がとても軽いんです。パリっとした生地の食感がとても心地がよく、長らく多くの方に好まれてきた大きな要因ではないでしょうか。

 

 

・味付け

簡単に言うと、マーガリンと塩です。とか言ったら、絶妙な配合をしている味付けの職人に怒られそうですが。でも私の方が年上なので却下します。

【味付け中。目が回ります。】

バターの風味と軽い塩味が生地の軽い食感と絶妙にマッチします。確認の為丹尺あられに手を伸ばしたところ、文章を書く手が5分止まり、おなかが満たされました。間違いなく美味いです。

 

 

・シチュエーション

暖かい緑茶が、丹尺あられの恋人です。またあられはお酒のおつまみにもよく合います。お酒とお茶、どちらが好きですかと聞かれたら、「お茶を傷つけてしまうのでお答えできません。」と答えます。ビールはもちろん、バターの風味が香るので、ワインやブランデーにもぴったりです。

 

 

さよならセールとして、WEBからのご購入については、1個50円(税込)とさせていただきます。もしよろしければ、丹尺あられをご賞味ください。最初で最後かもしれません。40年以上、当社の看板商品として頑張ってくれた丹尺あられを、1人でも多くの方に味わっていただければ幸いです。